ロシア軍が猛攻、脆弱な防衛線押し込む ウクライナ東部
(CNN) ウクライナ軍にとって重要な同国東部戦線の防衛ラインが、過去1週間で部分的にロシア軍の手に落ちたとみられることがわかった。英国の国防情報機関や軍事ブロガーが現地情報筋を引用して明らかにした。
英国防情報部は3月30日、東部の要衝アウジーイウカ近郊で戦うウクライナ側の命運について、いつになく否定的な評価を下した。同市は2月半ば、ロシア軍に制圧された。
X(旧ツイッター)で共有された英国の声明によると、ロシアはアウジーイウカの西側で段階的な前進を継続。3月下旬にはほぼ確実にトネンケとオルリウカの村落2カ所を掌握したとみられる。現在も周辺地域の複数の村落に対して引き続き攻勢をかけているという。
同局はその上で、ロシア軍がこの地域における兵員と弾薬でウクライナ軍を著しく上回っていると指摘。月に3万人の兵力を補充できていると付け加えた。
これらの村落自体に戦略的な重要性はないものの、それらはウクライナ軍の防衛ラインの一部を形成。同軍はアウジーイウカ撤退以降、厳しい戦いを繰り広げながらこのラインを守ってきた。
ロシアとの戦争におけるウクライナ側の展望が一段と暗くなる中、今回の英国による声明はウクライナの命運にとってとりわけ悲観的な分析となっている。
同国のゼレンスキー大統領は3月29日、米紙ワシントン・ポストの取材に答え、米国からの支援が得られなければ、ウクライナ軍は徐々に退却することを余儀なくされると訴えた。
前線のウクライナ軍兵士は、緊急に弾薬を補給し、ロシア軍による直近の集中砲火に対抗する必要に迫られている。米議会ではウクライナ向けの支援に関する議論が膠着(こうちゃく)状態に陥っており、欧州連合(EU)でもウクライナへの軍事支援を巡っては内部での見解の不一致を解消しなくてはならない状況にある。