ハマスが「停戦」受け入れ発表 それでも即時休戦に至らない理由
ネタニヤフ氏とハマスの懸念
ハマスとイスラエルは、停戦合意を妨げて戦争を長期化させているのは相手のほうだと互いに非難し合っている。
専門家によれば、双方とも停戦に政治的生き残りがかかっていることから、最大限の要求を突き付けているという。
ネタニヤフ氏は厳しい立場に置かれている。最も近い同盟国やイスラエル人の人質の家族から停戦交渉に合意してラファ全面侵攻は回避すべきだと激しい圧力をかけられる一方で、脆弱(ぜいじゃく)な連立政権内では、ハマスを掃討するまで戦闘を止めるべきではないと主張する強硬派にも配慮しなければならない。
ハマスはハマスで、恒久的な停戦の保証がないまま戦争が終結した場合の身の振り方を案じている。
ローウェンスタイン氏によれば、昨年11月に一時停戦が合意されてからというもの、ハマスは戦闘行為の永続的な停止が盛り込まれていない交渉には興味を示してこなかった。永続的な戦闘の停止こそが、自分たちの生き残りを確実にする唯一のシナリオだと考えているからだという。
「双方とも、政治的な生き残りを確実にするような停戦しか望んでいない」とローウェンスタイン氏は言う。「ハマスの場合、恒久的な停戦で軍事力をいくらか維持することができる。ビビにしてみれば、停戦は『完全勝利』に至るまでの一時停止に過ぎない」
米首都ワシントンに拠点を置くアラブ湾岸諸国研究所の上級常勤研究員、フセイン・イビシュ氏によると、ハマスとネタニヤフ氏はいずれも、戦闘継続で政治的利益を得ていると考えているものの、国内では双方に対して戦闘行為の停止を求める圧力が高まっているという。
パレスチナ人の救済と「組織の立て直し期間を稼ぐためにも、ハマスはエジプトとカタールの停戦案を受け入れるべきだという大きな圧力がかかっている。ガザ地区以外で暮らす指導者からも一定の圧力がかけられている」とイビシュ氏はCNNに語った。
おそらくハマスは、たとえ組織の形態が変われども、ネタニヤフ氏より自分たちのほうが生き残る可能性が高いと感じているのだろうと同氏は言う。
「ハマスはこの先も生き残る。ハマスは政治組織であり、ブランドだ。殺害対象リストに挙がっている個人や、破壊対象リストのインフラや設備とは違う」とイビシュ氏はCNNに語った。「一方でネタニヤフ氏は、個人としても政治家としても永遠に生き残ることはない」