マドゥロ大統領批判の住民宅に黒い「X」マーク、密告に怯える市民 ベネズエラ
真夜中に自宅のドアにペンキが塗られる物音や、スプレー缶のガラガラという音が聞こえて眠れなかったというパブロさん。「彼らは翌日、これは卑怯(ひきょう)者のマークだと触れ回り、抗議する者がいれば銃を持って戻って来ると言った」と話している。
マドゥロ政権はこれまでにも民兵組織を使って野党支持者を脅したり襲撃したりしていた。
落書きは政権側の民兵組織によってスプレー塗装されたものだとみられている/CNN
同じ地区に住む住民の女性は、自宅に落書きはされなかったが、17日に予定されている反政府デモにはもう怖くて参加できないと打ち明けた。政府は既に、マドゥロ氏の勝利宣言に抗議したり疑問を投げかけたりした野党支持者ら数百人を拘束している。
この女性が住む地区には民兵組織が監視カメラを設置しており、誰を信頼していいのか分からないと女性は訴える。政府は最近、もともと行政の機能不全を報告することを想定していたアプリの用途を変更し、誰でも野党支持者を密告できるようにした。
マドゥロ氏は最近の集会で自ら「これはファシストを密告するためのアプリだ」と位置付けた。同アプリはアップルのアプリストアでは提供中止になったが、グーグルのアプリストアでは引き続き提供されている。
この地区の住民の約80%は野党を支持しているが、怖くて声を上げることができないと住民の女性は言い、「選挙の数日後、抗議デモに参加した若者2人が連行された。アプリのせいで、近隣の住民同士でも信用できない」と話している。