ウクライナの越境攻撃で攻守逆転、ロシアは防衛態勢の強化に奔走
ウクライナ軍は越境攻撃の際、高速移動ができ耐久力の高い西側の戦闘車両の「ストライカー」や「マルダー」を使用した。ロシア側が攻撃の強度を見極めようとするなか、ウクライナの特殊部隊の小規模なグループがすぐ数十カ所に展開した。
成功の鍵となったのは、防空と支援砲撃、ロシア軍の通信に対する妨害だ。熱をおさえる防弾チョッキは熱を感知するドローン(無人機)を回避するのに役立った。
越境攻撃が展開されるにつれ、ウクライナ軍兵士は姿を消す前に村の標識の前で撮影した動画を投稿した。これは越境攻撃と並行して行われた心理戦の一環だ。
CNNはクルスク州の各地で、ウクライナ軍の兵士が道路標識の前でポーズを取ったり、施設からロシア国旗を撤去したりする様子を捉えた動画の位置を確認した。
RUSIのセスクリア氏は、こうした動画について、情報戦という観点から非常に高い価値があると指摘。こうした動画は現在も残っており、ウクライナ兵の士気を高めるものだと述べた。
セスクリア氏は、今回の越境攻撃について、クルスク州はウクライナ領へのミサイル発射に使われてきたことから、ウクライナにとって自衛のためでもあると述べた。
セスクリア氏は、越境攻撃の戦略的な目的について、過去数カ月間で攻撃を受けていたウクライナ東部ドネツク州での作戦からロシア軍を引き離すことかもしれないと指摘。ウクライナ領での軍事的な圧力を緩和するというのが明白な意図だと述べた。
セスクリア氏は、ウクライナが今回の越境攻撃によって、将来の和平交渉でより良い交渉上の立ち位置を得ることができるかもしれないと言い添えた。実際、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は越境攻撃について、「公正な交渉過程」に入るようロシアを説得することが目的だったと語っていた。