「生きていけない」 退避命令繰り返すイスラエル軍、ガザ南部で数千人が再び避難
(CNN) イスラエル国防軍がパレスチナ自治区ガザ地区で退避命令を繰り返している。CNNの21日の映像には、ガザ南部で数千人が度重なる移動を強いられる様子が映っている。
デイルアルバラ東部にいた住民は、歩いたりロバが引く荷車に乗ったりして避難した。車にマットや毛布、水、ガスボンベなどを詰め込んだ人たちもいる。道路にはイスラエル軍が投下した退避命令のビラが散乱していた。
CNNの分析によると、イスラエル軍は先月、ガザ地区の人道区域を38%縮小した。退避勧告は7月22日と27日、8月16日と21日に出されている。
人道区域の現在の面積は39平方キロメートルと、ガザ地区の面積の10%程度にすぎない。
国連の食糧支援トラックには大勢が群がり、支援物資の入った小さな袋を受け取っていた。
退避した住民の一人、ムハンマド・アワドさんは、「デイルアルバラ東部では今朝から砲撃や銃撃があってクアッドコプターが飛行しているので、我々は避難を強いられた。みんな行き先は分からない。考えもつかない。ただ退避を命じられた」とCNNに語った。
荷車に座っていたウム・アラアさんという女性は、退避を強いられたのは昨年10月以来、4回目になると話し、「どこへ行くのかは分からない。この危険な場所から離れた地点を探す。ガザ全土が危険になった」と訴えた。
高齢の男性は「もう行く場所がない。デイルアルバラだけだったのに、今度はデイルアルバラから退避しろと言われた。恐怖を感じる。明日には彼らが私たち全員をデイルアルバラの海岸に閉じ込めて、全員を殲滅(せんめつ)するかもしれない」と取り乱した様子だった。
「こんなに何度も避難を繰り返して、もうこれ以上避難する力はない」と男性は肩を落とす。
小さな子どもたちを連れた女性のウム・イスマイルさんは、「なぜ私たちと戦うの? 私たちはハマスじゃない。自宅でじっとしているただの人。彼らは1回だけでなく、10回も私たちを避難させた。なぜ? 私たちが何をしたの?」と問いかけた。
車の後部座席にいた女性は「私たちの身に起きていることを知りたければ、ハマスとイスラエルに聞けばいい」と声を荒げた。女性の一家が避難を強いられたのは2回目だという。
数は非常に少ないものの、避難は初めてという住民もいる。女性や子どもたちでいっぱいの車を運転していた男性は、「どこへ行けばいいのか分からない。滞在できればどこでもいい」と涙を流した。