ウクライナ高官が今週訪米、ロシア領内の攻撃目標リストを提示へ 議員明かす
(CNN) ウクライナ政府の高官2人が今週、バイデン米政権との対面会談でロシア国内の攻撃目標リストを提示する見通しであることが分かった。ロシアに対する米国製兵器の使用制限を解除するよう促す狙いがあるという。ウクライナの議員がCNNに明らかにした。
この議員によると、ウクライナ大統領府のイエルマーク長官とウメロウ国防相は米当局者と面会し、「ロシア領に対する長距離兵器攻撃の制限を解除するよう、ホワイトハウスに具体的に説得を試みる」方針。
「イエルマーク、ウメロウ両氏は優先攻撃目標のリストを提示する見通しだ。これなしで戦況をウクライナ有利に傾かせることは難しい」という。
複数の米当局者によると、ウメロウ氏は28日にオースティン米国防長官と会談する。イエルマーク氏の会談相手は不明。以前の訪米では、ブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談した。
リストの提示については、米政治専門サイト「ポリティコ」が最初に報じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、ロシア領奥深くへの攻撃を許可して「長距離攻撃の制限を今すぐ解除」するよう要請。許可が出れば「ウクライナにとっても、世界全体にとっても」終戦が早まるだろうとの認識を示した。
ウクライナは11月の米大統領選を前に、米国に協調的な圧力をかけている。トランプ前大統領が勝利すれば、米国はウクライナ支援から手を引く可能性があるとの懸念がウクライナ政府にはある。
これに先立ち今月上旬、ウクライナはロシア領に越境奇襲攻撃を仕掛けていた。ロシア南西部クルスク州での作戦は今のところ、米国製兵器の使用制限区域として米国が指定した地域に限定されている。ただ、米当局者の1人は今月、今回の攻勢は「我々の念頭に無かった」と認めた。
ウクライナ政府は繰り返し、ロシア領奥深くの目標への攻撃に欧米製兵器を使用することを求めている。ロシア軍が軍用機や統制拠点などの高価値目標を前線からさらに遠ざけている状況が背景にある。