スペイン・バレンシアでがれきに覆われた通りを歩く男性。同国南部・東部では鉄砲水が発生、数時間で最大300ミリの大雨に見舞われた地域もあった。死者の大半は28年ぶりの豪雨となったバレンシア地方で発生した=10月30日/David Ramos/Getty Images
(CNN) 8年前、世界のほぼすべての国が気候変動対策の国際ルール「パリ協定」に署名し、地球温暖化を1.5度未満に抑えるよう努力することを誓約した。
科学者はこのしきい値を守ることで、干ばつ、熱波、壊滅的な海面上昇などの連鎖的で悪化する影響を防ぐことになると述べた。
しかし、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が11月に発表したデータによると、記録上最も暑い年となる2024年は、このしきい値を超えることが「ほぼ確実」だという。
地球の急速な温暖化の影響はたやすく分かる。
化石燃料起因の汚染により世界が温暖化するにつれ、豪雨は激しさを増し、頻度も高まっている。より暖かくなった大気が保持できる水分量は増え、それが嵐となって豪雨をもたらす。
温暖化していく世界では、熱帯低気圧の勢力も増していく。9月に米フロリダ州に上陸したカテゴリー4のハリケーン「へリーン」は約800キロ移動して六つの州で壊滅的な洪水を引き起こし、230人以上の死者を出した。分析によると、へリーンが発生したメキシコ湾のきわめて暖かい海水は人為的な気候変動によって最大500倍も発生しやすくなったという。また、ハリケーンの風雨も一層強くなった。
科学者は、地球温暖化によって山火事も激しさを増し、深刻な被害をもたらす可能性が高くなっていると警鐘を鳴らす。熱は植物から水分を奪い取り、燃えやすくする。
温暖化につれ、干ばつの期間も長く厳しくなる。植物は干上がり、火災が急速に発生して広がる可能性が高まっている。