タイ首相に詐欺電話、他国の首脳の声で金を要求 AIで合成か
バンコク(CNN) 電話で相手をだまして金品をだまし取ろうとする詐欺の手口が各国で横行する中、タイのペートンタン・シナワット首相は、他国の首脳を装う人物の声で金を要求する電話がかかってきたことを明らかにした。人工知能(AI)で合成された音声が使われたと推測している。
ペートンタン首相は、模倣されたのがどの国の首脳の音声だったのかは明らかにしなかったものの、誰でも知っている首脳の声だったと打ち明けた。
「声は非常に明瞭だったので、すぐに誰だか分かった。最初に音声ファイルが届いて、『ごきげんよう。共に働きたいと思います』などと言っていた」とペートンタン首相は振り返る。
その後、同じ番号からかかってきた電話には出られなかったが、続いて受信した音声メッセージでは本題を切り出してきた。「(東南アジア諸国連合の中で)まだ寄付していないのはあなたの国だけです」。ペートンタン首相は「一瞬あっけにとられて、何かがおかしいと気づいた」という。
メッセージを送った相手は恐らくAIを使ってこの首脳の音声を模倣したのだろうとペートンタン首相は推測する。
東南アジアは詐欺の拠点としても頻繁に利用されてきた。捜査当局によると、ここ数年は複数の国をまたぐ犯罪組織が技術の進化やミャンマーの内戦に付け込んで、世界中の人から多額をだまし取る詐欺を展開している。
AI技術の進化に伴い、何百万人もの人々が、AIで合成した音声を使う詐欺の被害に遭う恐れがあると危惧する声は強まっている。