押収した絶滅危惧の動物961匹、マダガスカルに返還 タイ当局
バンコク(CNN) タイ当局が、国内で押収した絶滅危惧種のカメやキツネザルなど約1000匹を本来の生息地であるアフリカ・マダガスカル島に返還する作業を開始した。
タイ当局によれば、今回の返還はタイとマダガスカルとの間での動物の送還として過去最大規模。
タイでは5月に動物密輸に対する取り締まりが行われ、警察が1117匹の動物を救出していた。このうちの8匹は救出時に死んでいた。
取り締まりでは、クモノスガメやホウシャガメ、ワオキツネザル、ブラウンキツネザルなどが救出されていた。これらの動物は、野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」で「最も絶滅の恐れ」のある動物に指定されている。
こうした動物は、アジアでは異国情緒あふれるペットとして人気が高いが、自然の生息環境を再現するのが非常に難しく、命の危険にさらされることも多い。
餌を食べるワオキツネザル/Department of National Parks, Wildlife and Plant Conservation
5月に押収された動物の一部は、タイに密輸された際に食べ物と水が不足したことで健康状態が悪化して死亡した。新しい環境に適応できなかった動物もいた。
タイの首都バンコクでは、動物の引き渡しにあたり式典が開催された。
合計961匹の動物がマダガスカルに送還される。搬送はカタール航空が3回に分けて行う。
動物保護に携わる英団体「トラフィック」の報告書によれば、木材と野生生物の違法な取引が、マダガスカルの豊かな生物多様性に対する2番目に大きな脅威。タイは東南アジアにおけるマダガスカルからの野生生物の最大の輸入国であり、マダガスカルで絶滅が危惧される動物の取引と再輸出で「重要な役割」を担っているという。