イスラエル首相、期日までに人質解放されなければ「停戦は終了」
ハマスによる人質解放の遅れに抗議するイスラエルの人々
(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は11日、イスラム組織ハマスと合意した停戦をめぐり、予定通り15日正午までに人質が解放されない場合は停戦合意を終了させると明らかにした。
停戦合意が発効してからわずか3週間で、イスラエルとハマスは互いに相手が停戦合意に違反したと非難の応酬を繰り広げている。
停戦合意では人質33人の解放が予定されている。これまでに解放された人質は16人。一方、イスラエルが公開したリストにある約2000人のパレスチナ人の受刑囚のうち656人が解放された。毎週行われている人質の交換だが中断される可能性が出てきた。ハマスが、イスラエル側が停戦合意に違反したとして「追って通知があるまで」15日の人質解放を延期すると通告したためだ。
ネタニヤフ氏は声明で、ハマスが15日正午までに人質を返さない場合は停戦を終了し、イスラエル軍がハマスを完全に打ちのめすまで激しい戦闘を再開すると述べた。
米国のトランプ大統領は、複数の段階に分かれている停戦合意を破棄し、全ての人質を一斉に解放することをハマスに最後通告するよう示唆した。
ハマスは10日、次の人質解放を延期すると警告した。イスラエル側がパレスチナ自治区ガザ地区各地で住民を狙って銃撃を行い、ガザ北部への住民の帰還を遅らせ、支援物資のガザへの搬入を認めなかったことなどが合意違反に当たると主張している。
外交筋によれば、国連やカタールなどが仮設シェルターをガザに届けるよう要請したが、イスラエルが拒んだという。
ガザの保健省は11日、停戦合意が発効して以降、イスラエル軍の軍事作戦によってガザで92人が死亡したと明らかにした。
ハマスの軍事部門の報道官は10日、SNSへの投稿で、イスラエル側が合意を守る限り、ハマスも合意を守ると述べた。イスラエルには「義務を果たすため」の時間が十分にあるとして、人質の解放が予定通り行われる機会はまだあると言い添えた。
イスラエルのカッツ国防相は10日、ハマスによる人質解放の遅れは「停戦合意の完全な違反」だと非難。イスラエル軍に対して「ガザで起こり得るあらゆる筋書きに備えた最高レベルの警戒態勢」を指示したという。