「メイド・イン・ロシア」が中国で大人気、需要につけ込んで不正な店舗も
公的な支援
プーチン氏がウクライナとの激しい戦争を続けるなか、中国とロシアはこれまで以上に緊密になったが、米国に対する共通の敵意と米政府主導の世界秩序に対抗するという共通の目標によって、こうした傾向はますます強まっている。
ロシアとプーチン氏は中国国民の間で幅広い人気を誇っている。清華大学戦略・安全研究センター(CISS)が昨年発表した世論調査によれば、回答者のうち66%がロシアに対して「非常に好意的」または「ある程度好意的」な見方を示した。対照的に、米国に対して「好意的ではない」との見方を示した人の割合は76%にのぼった。
中国国営メディアによれば、メイド・イン・ロシアの流行は22年初頭にまでさかのぼることができるという。
ロシア軍の戦車がウクライナに進入した数日後、在中国ロシア大使館が推奨する電子商取引店舗の「ロシア国家パビリオン」が中国のSNSで話題になった。当時の中国メディアの報道によれば、買い物客はキャンディーからティーバッグまで、あらゆるものを買いあさり、3日間で約600万人民元(現在のレートで約1億2000万円)を消費した。

観光客に人気の南鑼鼓巷にある店舗。腰までのロシア人形が出迎えてくれる=12月29日、北京/Fred He/CNN
ロシアメディアの報道によれば、23年4月までに300社を超えるロシア企業が「淘宝(タオバオ)」などの中国の通販サイトに出店した。
監視の目と反発
ロシア製品の人気が高まるにつれ、非公式の店舗に対し、中国の消費者やメディアから、販売されている商品の品質や信ぴょう性についての厳しい目が向けられるようになった。
中国の消費者は昨年、SNSを通じ、店舗で販売されているロシア製と表示されている商品の一部が実際には中国やマレーシアなどロシア以外の国で製造されていると苦情を申し立てた。
「界面新聞」の報道によれば、ロシア製品の販売店で売られているパンやソーセージ、粉ミルクなどの食品の大部分は中国北東部の工場で製造されたものだという。
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の中国国内版「抖音(ドウイン)」では、中国を拠点とするロシアのインフルエンサーが「偽のロシア製品」とされるものを暴露した。
在中国ロシア大使館もロシア製をうたった「偽造品」に注意するよう呼び掛けている。
こうした事態を受けて、上海の当局は市内にあるロシア製品販売店47店舗に対して2度にわたる検査を実施した。このうちの7店舗については、「国営のパビリオン」と偽って宣伝し、公式の支援を受けていると消費者に誤解させたとして告発された。他の店舗についても製品の原産地について「非常に誤解を招く印象」を与えるものがあった。
一部の店舗は閉鎖を命じられたほか、罰金を科されたり、国内生産品であることをより明確に表示したりするよう求められた店舗もあった。
一部で物議を醸しているが、ロシア産の商品の人気によって、公式の店舗を含めて中国での出店が増えている。「ロシア輸出センター」は2月、年内に中国のパートナーと共同で最大300店舗の設立を計画していると発表した。