中国、人工衛星同士の「ドッグファイト」を訓練 米宇宙軍

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米宇宙軍のゲトライン宇宙作戦副部長が、中国による人工衛星同士の訓練に言及した/Eric R. Dietrich/US Air Force/File

米宇宙軍のゲトライン宇宙作戦副部長が、中国による人工衛星同士の訓練に言及した/Eric R. Dietrich/US Air Force/File

香港(CNN) 米宇宙軍はこのほど、中国が宇宙能力強化策の一環として、人工衛星同士の「ドッグファイト」の訓練を行っていると明らかにした。安全保障における宇宙の重要性が増す中、米国の主要競合国は技術格差を縮めつつあるとも警鐘を鳴らした。

宇宙軍のゲトライン宇宙作戦副部長は18日の国防関連会合で、「宇宙空間の五つの物体が、同期した制御された動きで出入りしたり、互いの周囲を回ったりしている様子」を確認したと明らかにした。

そのうえで「これが我々の言う『宇宙でのドッグファイト』だ。彼らは一つの人工衛星から他の衛星に対して軌道上で作戦を実施するための戦術、技術、手順を訓練している」と指摘した。ドッグファイトとは通常、戦闘機同士による近距離での空中戦を指す。

バージニア州アーリントンの国防会合で発言したゲトライン氏は、米国と「ほぼ対等な敵」が軌道上で機動訓練を行っていると指摘。宇宙軍報道官がその後のCNNの取材に明かしたところによると、ゲトライン氏が言及したのは中国の活動だという。

こうした活動の目的は明らかになっておらず、専門家の間では「ドッグファイト」という言葉の使用に疑問を呈する声もある。ただ、ゲトライン氏の発言は、中国を含め対宇宙(カウンタースペース)技術の開発を試みる国が増加中だとの指摘が出ているタイミングで飛び出した。

こうした技術により、国家が衛星を破壊または機能停止させることが可能となり、潜在的には競合国の軍事通信や、ミサイルの発射・探知といった活動を妨害できるようになる。また、銀行取引から貨物輸送、救急車の派遣まで幅広い分野で利用されるGPS(全地球測位システム)に混乱をもたらす可能性もある。

米国は近年、中国が宇宙強国として急速に台頭する様子を注視している。月面探査や深宇宙探査といった野心的な計画だけでなく、カウンタースペース能力の強化を通じて中国は台頭を遂げている。

ゲトライン氏は「これほど複雑かつ困難な戦略環境は、史上初とは言わないまでも、長年我々が経験してこなかったものだ」と指摘。将来にわたって「米国の優位性を確保する」ためには、「抑止力、そして必要なら攻撃を撃退する力」が必要になると言い添えた。

米宇宙軍の報道官はゲトライン氏が言及した「ドッグファイト」について、2024年に低軌道上で行われた一連の中国人工衛星の動きを指すと説明した。具体的には、試験衛星「実験24C」3基と「実践6―05A/B」2基が絡んでいたという。

北京当局は自国の試験衛星やこうした活動に関する公的情報をほとんど公表していない。19年の白書では「宇宙空間における安全保障上の利益」の保護を国防目標の一つに挙げているが、かねて「宇宙空間の平和利用」を支持し、宇宙空間での軍拡競争には反対の立場を示している。

CNNは中国国防省と国家国防科技工業局に問い合わせているものの、現時点で回答は得られていない。

専門家によると、宇宙空間の物理的力学を踏まえると、ゲトライン氏が「ドッグファイト」と形容した動きは、戦闘機同士が空中で行うものとは大きく異なるとみられる。今回のケースでは、人工衛星が推進剤を使って互いの周囲を動き回る形が考えられるという。

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