「秘密のレシピ」で消費者を引き付けろ 米コカ・コーラの販売戦略
薬剤師のジョン・ペンバートン氏がコーラを「発明」し、1886年に発売開始して以来、レシピは秘伝として口頭で伝えられてきた。
同社のウェブサイトによると、レシピが初めて文書に記録されたのは1919年。アーネスト・ウッドラフ氏が率いる投資家グループが同社を買収した際、融資を引き出す担保としてレシピが文書化された。
以来、レシピ文書はアトランタの銀行内に保管されていたが、2011年、同社の博物館「ワールド・オブ・コカ・コーラ」の専用保管庫に移されることになる。その背後には、マーケティング戦略の一貫として、レシピの秘密めいた雰囲気を強く押し出そうとする思惑があった。
保管庫は赤い光に照らされて煙幕に包まれており、神秘の気配をまとう。周囲には巨大な鉄壁を張りめぐらせる徹底ぶりだ。
鉄壁の内部にもう一つの保管庫があり、厳重管理されている。同社によれば、さらにその内側に金属ケースがあり、レシピを書き付けた一枚の紙片が眠っているという。
もっとも、こうした神秘化には懐疑的な向きもある。