「秘密のレシピ」で消費者を引き付けろ 米コカ・コーラの販売戦略
コーラの歴史に関する著作があるジャーナリスト、マーク・ペンダーグラスト氏によると、コーラが発明された1868年は医薬品特許の最盛期。「コカ・コーラ」の名前で特許が申請されなかったのは皮肉な話だと指摘する。レシピにはその実、安っぽい製法が書かれているにすぎず、巨額の利益との落差を隠すため秘密にされているだけだとの見方を示す。
一方、同社の説明では、特許を取らないのは、原液製法の秘密が露見するのを防ぐためだとされている。
過去には、古文書を掘り起こして成分の秘密を解明したと主張し、レシピを公開する人々も現われた。だが同社はいずれも幻想として否定している。「本物」はただ一つしかないという立場だ。
実は、ペンダーグラスト氏の著書では、もう一つの秘密のレシピが紹介されている。コカ・コーラ名付けの親であり、同社のロゴも考案した「陰の立役者」であるフランク・ロビンソン氏の手書きによるレシピの写しだ。どちらも「本物」で、大本の製法の異なるバージョンだと主張する。
ただ、ペンダーグラスト氏は、正確な製法を特定しても意味がないとする。著書内でも紹介されているように、同氏がコカ・コーラ広報担当に話を聞くと、秘密のレシピが人手に渡ったところで同社に対抗できるはずがない、と返されたという。
コカ・コーラがすでに世界中いたる所で手に入る現状で、他社がより高額な類似製品を作っても誰も買わないだろう、という理屈だ。