スペイン、夜型生活とお別れ? 生産性向上へ
国内株式市場も堅調で、外国人投資家も戻ってきた。米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏もスペインの建設会社の株式を購入、取得額は1億5000万ドル(約150億円)に及ぶ。
好転の要因は、スペインが本腰を上げて経済改革に乗り出したことにある。官民セクターは効率化された。また、当局は強硬な反対を押し切り、退職年齢引き上げに成功。さらに解雇規制も緩和され、労働市場が柔軟化された。スペインの人件費は、上昇しているドイツやフランスと違い、下落基調にある。
こうした改革がすべて相まって、スペインの競争力は増大した。経済成長が税収増に結びつき、財政状況が安定するという好循環だ。
だが、スペイン当局はこの程度で満足すべきではない。歳入に占める税収の割合は、いまだ欧州最低水準にとどまっている。最大の課題は失業率であり、なによりも若年失業率を改善しなければ、「失われた世代」を生み出すことになりかねない。
欧州各国は厳しい緊縮財政を受け入れてきたが、真に必要なのは構造改革だ。スペインの標準時を遅らせたところで、どれほどの成果を生むか、判然としない。
しかし、それが生産性全般をめぐる議論の活性化につながるのであれば、すぐにでも取り組むべきだろう。