中国の産業スパイ、その長い歴史
雇われているのは専門のスパイだけでなく、こうしたやり方に賛同する学生や民間の技術者も多い。
対策として米下院では2006年、経済スパイ法を可決した。この法律に基づきこれまで数人が告発されているが、なかでも有名なのが09年に有罪判決を受けた米国籍の江波(ジアン・ボー)元技術者だ。米航空大手ボーイング社の元技術者であり、米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・プログラムにも関わっていた同氏は、膨大な機密書類を持ち出しその一部を中国当局者に渡したとされ、懲役15年の判決を受けた。
知人で米国籍の中国人エンジニアも、米国の船舶や潜水艦に関する情報を中国当局に渡したとして、懲役24年を宣告されている。
さらにアイオワ州では昨年、品種改良により干ばつや害虫に対する耐性を高めたトウモロコシの種を盗もうとした罪で、中国人6人が起訴された。
こうした中、オバマ政権は軍事スパイ行為と経済スパイ行為を区別しようとしている。米国のスパイ活動はあくまで安全保障のためであり、米企業とは情報を共有していないとの論法だ。