ギリシャ、経済危機で生まれ変わった観光産業
キリアキスさんは、もしギリシャの経済危機がなかったら、ベンチャービジネスを始めようとは思わなかっただろう、と語る。
ギリシャには旅行業者が見落としている地域が沢山あるが、それらの地域も最近になって、少しずつ注目を集めるようになってきた。
ミロス島もその1つだ。ミロス島といえば、フィラコピ遺跡や鉱物資源が有名で、「ミロのヴィーナス」が発見された場所としても知られるが、これまで旅行業者、格安航空会社、旅行者からほとんど見過ごされてきた。
「ここはそういう(大規模なホテルが立ち並ぶ)観光地ではない。ここにあるのは、量よりもサービスや質を重視する家族経営の小規模なホテルだ」と語るのは、専門分野に特化した旅行代理店「Travel Me to Milos」を経営するアントニス・マリスさんだ。
マリスさんは、故郷のミロス島に帰るために保険会社を退職後、2011年に自分の会社を立ち上げた。
マリスさんは、ミロス島には、古代の温泉、水中洞窟、昔の海賊の隠れ家、3世紀に作られた地下墓地など、多くの観光資源があること、また、それらの観光資源を誰も宣伝しておらず、また旅行者が訪問できる体制が整っていないことに気付いたという。
マリスさんは「ネットで安い部屋を予約するのは簡単だが、目的地の詳しい情報を入手するのは容易ではない」とし、「われわれに連絡をいただければ、おすすめの観光スポットや、その日の風向きをお知らせする」と語る。
マリスさんが提供しているのは気象情報だけではない。マリスさんの専門は、ミロス島の見事な景色の一部が堪能できる考古学・地質学ツアーだが、他にも島の他の業者と協力してセーリングやハイキングのツアーを提供したり、最近は、島で生産したチーズや農産物を紹介する料理教室も始めた。