ギリシャ、経済危機で生まれ変わった観光産業
(CNN) ギリシャ・ロドス島のオールドタウンの入口にある堀の脇に、ランタンに照らされた観光客の一団が立っている。オールドタウンは、欧州で最も保存状態の良い中世都市の1つで、ユネスコの世界遺産リストにも登録されている。
聖ヨハネ騎士団の衣装を着たガイドが、このツアーの参加者に、オスマン帝国最盛期の皇帝スレイマン1世が1522年のロドス包囲戦で自軍の兵士の遺体を使ってその堀を渡ったエピソードなどを解説している。
意外なのは、このやや「上品さ」に欠けるツアーを主催しているのがロドス島でも最高級リゾートホテルの1つであるリンディアン・ヴィレッジという点だ。
リンディアン・ヴィレッジは今年、「Experience Greece」と題し、上記の堀ツアーのほかに、カイーク(伝統的な木製の漁船)で行く釣り旅行、ヨーグルト、はちみつ、レモンなどギリシャの特産品を使ったエステ、エーゲ海南東部に点在するドデカネス諸島にある小規模ブドウ園でのワイン試飲会など、ユニークなサービスの提供を開始した。
同ホテルの代表取締役社長を務めるマリザ・スビリアディスさんは、ギリシャを襲った6年に及ぶ経済危機の間にこのアイデアを思い付いたという。
ロドス島の多くのホテルが、すべて込みのパッケージを販売し、基本的に宿泊客をホテルの外に出さず、現金を緊急に必要としていた地元企業から遠ざける戦略を取る中、スビリアディスさんは正反対のアプローチを取る決断を下す。
スビリアディスさんは、「Experience Greece」プロジェクトを立ち上げ、宿泊客をホテルの外に連れ出し、観光地としての魅力がありながら長年見過ごされ、放置されてきた場所のプロモーションを開始した。
「ギリシャには見所が沢山ある。フェタチーズ(ギリシャ産のヤギのチーズ)だけではないということを示したかった」とスビリアディスさんは言う。