アリババが香港市場での上場延期か 政治不安受け
香港(CNN Business) 中国ネット通販大手、アリババ集団が香港市場への上場計画を延期した。ロイター通信が21日、伝えた。
米ニューヨーク証券取引所に上場しているアリババは香港市場への重複上場を検討中で、資金調達額は最大150億ドル(約1兆6000億円)に上ると報じられていた。8月に上場予定だった。
ロイターは延期決定に関わった匿名の情報筋の話として、金融や政治の安定性の欠如が上場延期の理由だと伝えた。上場は早くて10月になるという。香港は逃亡犯条例を巡る抗議デモが11週連続で行われている。
アリババは上場の報道を「市場のうわさ」と述べ、コメントを避けた。
同社は5年前、香港市場での上場交渉が破談したのを受けてニューヨーク市場に上場。香港の規制当局は当時、ジャック・マー会長らの経営陣が会社を支配する企業構造を問題視し、上場を認めなかった。
昨年、香港市場のルールが変更され、市場価値の大きな企業については、経営上重要な役割を担う人物が通常とは異なる議決権を持つことを容認した。
重複上場の話が出た今年5月には、情報筋がCNN Businessに対して、上場により資金調達経路が多様化し、資金の流動性も向上できると述べていた。
アリババは中国のネット通販で大手だが、他の中国のネット企業と同様に競争にさらされ、主要事業以外にビジネスを拡大する必要性に迫られている。
香港の投資会社、ロイストン証券の幹部は、アリババにとって香港市場は上場に最も適していると指摘。この地域で最も開かれた国際市場であり、世界の投資家の拠点になっているとの見方を示した。