米国でマスクの売れ行き急増、専門家は「今のところ不要」と忠告
(CNN) 新型コロナウイルスによる感染が世界各地に広がるなか、米国内の店頭でもマスクが飛ぶように売れている。だが専門家によると、米国では今のところ、医療従事者以外の市民がマスクを着用する必要はないという。
発生源となった中国・武漢市では現在、マスク着用が義務付けられている。しかし現時点で米国内の感染は散発的な症例にとどまり、疾病対策センター(CDC)から一般市民にマスク着用を促す勧告は出ていない。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のチャールズ・チュー教授はCNNに、「米国内では患者と直接接する人や最近中国へ渡航した人を除き、マスクを買いに走ることは勧めない」と話した。
米国内では一般的なマスクと、微粒子用の「N95マスク」の両方がよく売れている。
一般的なマスクはウイルスを含んだくしゃみやせきの飛沫(ひまつ)を遮断するには有効だが、空気中に浮遊するウイルスは通してしまう。患者自身が着ければ感染の拡大をある程度防げるものの、マスクの周りにすき間ができて密閉性も低い。
これに対してN95マスクは、空気中の微粒子を95%以上カットできることから、患者と接する医療従事者にはCDCも着用を勧めている。
だがN95マスクは正しく装着するのが難しく、一般市民には向いていない。チュー氏はさらに、密閉性が高いせいで長時間着用するのは苦しいという問題点も指摘する。
マスクを着けるだけで安心してしまい、日常的な対策がないがしろになるのも問題だ。チュー氏はマスクよりも、患者との接触を避け、石けんでよく手を洗うといった「常識的対策」が重要だと強調している。