豪政府、中国への企業売却を阻止 キリンの子会社
香港(CNN Business) 中国の企業「蒙牛乳業」は27日までに、オーストラリアで飲料事業を展開する「ライオン飲料」の買収を断念したと発表した。豪州政府が承認しない可能性が高まったことが要因としている。
ライオン飲料と親会社である日本のキリンホールディングスもそれぞれ声明を発表し、豪州の関連当局の承認が得られそうもないと述べた。約6億豪州ドル(約462億円)相当とされる買収計画は昨年11月に初めて発表されていた。
豪州と中国の通商関係はここ数カ月、豪州政府が新型コロナウイルスの感染源の調査を要求したことなどがきっかけで悪化。中国はその後、豪州産の牛肉の一部輸入を停止、大麦に大幅な追加関税を課す報復措置も打ち出していた。
買収計画を巡っては豪州の競争・消費者委員会が今年2月、反対しない意向を表明。蒙牛乳業などは豪州の外国投資審査委員会の判断を待っている段階だった。
しかし、豪州紙「オーストラリアン・フィナンシャル・レビュー」が先週、同国のフライデンバーグ財務相が買収阻止に動いていると報道。消息筋の情報として反対は外交的な問題が原因とも伝えていた。
財務相は25日、蒙牛乳業側に「買収計画は豪州の国益に相反する」と説明したことを明かしてもいた。
蒙牛乳業は声明で、承認が得られそうもないことを受け買収の手続きを中止することでライオン飲料と合意したと説明した。
豪州と中国の間の貿易摩擦は緩和する兆しも見えず、中国商務省は先週、輸入する豪州産ワインを対象に不当廉売の調査開始を発表。豪州の貿易省はその事実はないと反論した。