ミステリーボックス産業の闇、輸送中に死んだ犬や猫 中国
国際的な動物保護活動を行う非政府組織(NGO)、世界動物保護協会(WAP)の中国支部に所属する科学者エバン・サン氏は、最初の抜き打ち調査の後すぐに、ペットが入った大量の箱が再び発見されたということは、ZTOエクスプレスが問題を是正するための十分な措置を講じなかった証拠だと指摘した。
「ペットが欲しい人は、そのような残酷な方法で動物を輸送することは許されないということを認識すべきだ」(サン氏)
病気の脅威
現在、中国には動物を虐待から守るための広範かつ全国的な法律は存在しない。しかし、ペット入りミステリーボックスをめぐるスキャンダルが発覚したのをきっかけに、専門家たちからそのような法案の提出を求める声が上がっている。
しかし、動物保護団体や国営メディアによると、野放し状態のペット入りミステリーボックス産業にはもうひとつ別の危険があるという。それは、病気が急速に広がる可能性だ。
ラブホームで活動するあるボランティアによると、成都での抜き打ち調査で発見された犬猫のうち十数匹が「ジステンパーや猫汎白血球減少症」などの病気と診断されたという。
世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルスの起源に関する報告書の草案の中で、動物がパンデミック(世界的大流行)の原因である可能性が最も高いと結論付けた。
中国は、新型コロナウイルスの大流行をきっかけに、野生動物を食べることを禁止するなど、動物由来感染症の大発生を防ぐための厳格な新しい法律を導入した。しかし、中国国営英字紙チャイナ・デイリーによると、電子商取引プラットフォーム上の多くのペット業者は、中国政府が提示した検査や検疫の要件を「ひたすら無視」しているという。
チャイナ・デイリーは、野放し状態の動物の売買の防止にもう少し注意を向けないと、いずれ「売買される動物たちが苦しむだけでは済まなくなるかもしれない」と警告した。