寝室から仕事場への自宅内移動は「通勤」、独裁判所が判決
ロンドン(CNN Business) ドイツの連邦社会裁判所は11日までに、男性が寝室から仕事場への自宅内移動を行った際、階段で滑って背骨を折ったのは「通勤」行為上の負傷とし、勤め先に賠償保険などの請求が出来るとの判断を示した。
数フィート(1フィートは約30.5センチ)程度の移動は通勤に相当しないとした下級裁判所による2件の見解を覆すもの。
連邦社会裁判所の声明によると、企業の販売担当幹部の職にある男性は自宅で1階下にある仕事場所へ向かう際、階段で足を滑らせ、椎骨(ついこつ)を骨折していた。勤務先の賠償保険では当初、治療費などの負担を拒まれたという。
その上で、男性は事故が起きた当日、階段を下りて仕事場所へ初めてまっすぐに向かっており、「雇い主の利益のため仕事に取りかかる通勤の行動であり、保険の対象となる」と見なされると述べた。
ドイツでは今年6月、新型コロナウイルス禍に伴うリモートワークの広がりを受け、雇用関連法に修正が加えられ、自宅内でのより多くの活動が通常の対面での形の職場を対象とする保険の適用対象となっていた。ただ、これらの活動が雇い主の利益に沿う場合との前提条件がある。
連邦社会裁判所による今回の判決を受け、法令上の事故の賠償金などを支払う保険会社は今後、支払い請求の増加に直面する可能性があるとの見方も出ている。