世銀、成長率予測を2.9%に下方修正 各国の不況入りを懸念
ニューヨーク(CNN Business) 世界銀行は7日に発表した世界経済見通しで、今年の成長率を2.9%に下方修正し、多くの国で不況は避けられないとの認識を示した。
世銀による今年の世界経済成長率の予測は、1月時点の4.1%から大幅に下がった。昨年の成長率は5.7%だった。
マルパス世銀総裁は、ロシアのウクライナ侵攻や中国による新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)、サプライチェーン(供給網)の混乱、物価上昇と景気減速が同時に進む「スタグフレーション」のリスクが、成長を妨げていると指摘した。
マルパス氏と同様、米ウォール街や各国の中央銀行も経済の急減速に懸念を示し始めている。
米銀大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は先週、経済の「ハリケーン」が近付いていると警告した。米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスクCEOも最近、経済の先行きをめぐり「とても嫌な予感がする」と発言した。
特にスタグフレーションへの懸念は大きい。1970年代末から80年代初めにオイルショックから景気の「二番底」に至った流れを連想させるとの指摘もある。
米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの影響で、経済が冷え込む兆候を警戒する動きもある。
世銀は世界経済成長率が2024年にかけて2.9%前後にとどまり、低成長とインフレは今後数年間続くと予測している。