イエメン攻撃計画を協議するグループチャット、トランプ政権高官が誤って記者を追加か

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トランプ政権高官、誤って記者に軍事情報送信か

(CNN) 米誌アトランティックはこのほど、トランプ政権の高官が誤って記者の追加されたグループチャットで、中東イエメンでの軍事攻撃に関する詳しい作戦計画などをやり取りしていたと報じた。アトランティック誌の報道に対し、米国の元国家安全保障当局者からはショックと恐怖の入り交じった反応が出ている。

やり取りは民間の暗号化チャットアプリ「シグナル」を通じて行われた。トランプ政権はこれらのメッセージについて本物のようだと認めたが、政権高官が許可された政府の機密システムを使わずに国防情報を協議していた理由については説明しなかった。

アトランティック誌によると、ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)は今月、紅海の海上輸送の脅威となっているイエメンの反政府組織フーシへの攻撃について協議するため、バンス副大統領やヘグセス国防長官、ルビオ国務長官を含む米政権高官とのグループチャットを開設した。ウォルツ氏はおそらく誤って、アトランティック誌のゴールドバーグ編集長をグループチャットに追加してしまったという。

やり取りは攻撃をいつ実施するかという議論から始まり、ゴールドバーグ氏もそれをフォローできる状態だった。攻撃が実施され、主要関係者が成功を称(たた)え合った後、ゴールドバーグ氏はグループから退出した。

この報道を受け、米国のある元高官はあぜんとした様子だった。

別の元高官はバイデン政権下で同様のアプリ使用例があったか問われ、「ない」と即答した。

シグナルは世界中で広く使われている暗号化メッセージアプリで、ジャーナリストや政府当局者の間でも人気がある。バイデン政権当局者も会議の運営面の調整や、時には外国の要人とのやり取りに日常的に使用していた。

ただ、軍事作戦計画の協議にシグナルを使用するのは国家安全保障上、非常にリスクが高い行為だと、元当局者らは指摘する。軍事計画は米国で最も厳重に秘匿される機密の一つであり、米軍要員の命にかかわる可能性もある。

複数の当局者は、シグナルを使って機密情報をやり取りしたり、軍事作戦について協議したりした例は記憶にないと語った。今回のグループチャットに参加していた高官らは機密通信システムにアクセスすることが可能で、機密情報の安全確保を職務とするスタッフも抱えている。

シグナルの安全性はアプリがオープンソースであることによって担保されており、そのコードは独立した立場の専門家が脆弱(ぜいじゃく)性の有無を検証できるように公開されている。しかし他のアプリと同様、国家の支援を受けたハッカーはシグナルのチャットに入り込む手段を探っており、外部からの傍受に対して脆弱な可能性は残る。

米グーグル傘下のセキュリティー企業マンディアントが先月公表した報告書によれば、ロシアとの関係が指摘されるスパイが、信頼できる連絡先を装ってウクライナ軍関係者のシグナルアカウントへ侵入を試みた例も見つかったという。

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