日本の軽トラ、米国でブーム 幅広い層に人気の理由は
目新しさ
効率性だけでなく、玩具のようなユニークなイメージも目新しさを感じさせる。
さまざまな用途に利用できることも幅広い層に支持される理由だという。「16歳になって運転免許を取得したばかりという人たちもいる。シカゴで広告用のラッピングのためだけにトラックを購入した客もいた」(ゾトスさん)
石けんとスキンケア用品の販売会社を立ち上げたメリッサ・トーレさんにとって、軽トラのメリットは可愛らしさだった。
トーレさんが商品を出品しているファーマーズマーケットで通常、売り手が割り当てられるのは3メートル四方ほどのスペースのみ。トーレさんは駐車場と市場を行き来して商品を運ぶ手間を省くため、そのまま商品を陳列できるトラックに目を向けた。しかし当初目を向けたミルクトラックやボックストラックは車体が長すぎる。
そうした中で見つけたのが、全長3.3メートル程度の軽トラだった
「私が割り当てられて使っていたスペースにぴったりだった。コストがかさむこともなく、切り替えには完璧だった。車を止めて荷台に陳列するだけで済む。おかげでずいぶん楽になった」とトーレさん。
ダイハツの「ハイゼット」96年モデルは、会社のイメージに合わせて水玉模様をペインティングした。
石けんとスキンケア用品の販売会社を経営するメリッサ・トーレさんが自社に合わせてカスタマイズしたダイハツ「ハイゼット」96年モデル/Melissa Torre/Vellum Street
「これまでマーケットで足を止めてくれなかった人たちが、立ち止まってこのトラックの話をしてくれる。まさに走る広告塔、しかも楽しい。子どもも大好き、大人も大好き。私が実際に運転して行くと、みんなが驚く」とトーレさんは話す。
ただしこれほどの人気でも、軽トラが米国で主流になることはないだろうと専門家は予想する。
自動車業界に詳しいマーク・シルマーさんは、「米国人はスペースに慣れている」と指摘した。
米道路安全保険協会のような非営利団体は、低速車両の安全性に関する懸念を理由に、公道でのミニトラック使用に反対の声を上げている。