ガソリン車の輸入を全面禁止、EV普及にまい進する意外な国とは
ガソリンからの急速な移行
エチオピアがEVに力を入れている背景には、輸入燃料が高価であることと、同国の電力の96%がクリーンな水力発電で供給されていることが挙げられる。
長年、一党独裁政権が統治してきたエチオピアは、民主的な国ではより長い時間がかかるであろう環境政策を迅速に実施できることを示した。同国は2000年代初頭にも非効率的で危険な有鉛ガソリンの禁止に素早く動いた。
エチオピアの車両台数は合計で約120万台とまだかなり少なく、普及の割合は100人に約1台だ。米国では91%以上が少なくとも1台の車を所有している。アフリカで最も人口の多いナイジェリアでは合計1180万台、100人に5~6台の割合で普及している。
エチオピア政府は、輸入ガソリン車の価格の最大3倍に相当する非常に高額な税金を課すことで、車の所有率を低く抑えてきた。これは公共交通機関の利用を促すための取り組みの一環だ。
政府は輸入EVに対する税金の一部を削減・廃止したが、EVは依然として高価だ。世界的な非営利団体である「世界資源研究所」の専門家によると、「EVを購入しているのは間違いなく高所得層だ」。
高額の費用にもかかわらず、エンジン車に代わりEVの台数は徐々にだが着実に増加している。EVの普及台数を10万台超にするという10年間の目標が22年に掲げられてから2年も経過していないが、米メディアのクリーンテクニカによると、エチオピアでEVはすでに全車両の10%近くを占めている。