米メーシーズの従業員1人、最大237億円の経費隠蔽 決算発表を延期
ニューヨーク(CNN) 米百貨店大手メーシーズは25日、従業員1人が3年近くにわたり最大1億5400万ドル(約237億3000万円)の経費を意図的に隠蔽(いんぺい)していたことが発覚し、四半期決算の発表を延期せざるを得なくなったと明らかにした。当初は26日に決算を公表する予定だった。
メーシーズによると、経費隠しの発覚を受け、独立機関による不正会計調査を実施中。従業員は小包の配送費用を隠すため「意図的に」誤った会計処理を行っており、既に退社したという。
メーシーズはこの従業員が費用を隠蔽した理由には言及しなかった。
問題の費用はメーシーズが2021年第4四半期~直近四半期に計上した配送費43億6000万ドルのごく一部だが、誤りの重大さを踏まえ、完全な四半期決算の報告を12月11日まで延期する判断を下した。ただ、誤った会計処理が会社の資金繰りや取引先への支払いに影響を与えた兆候は一切ないという。
メーシーズのトニー・スプリング最高経営責任者(CEO)は声明で、「メーシーズでは倫理的行動の文化を奨励している」と指摘。「可能な限り迅速に調査を完了すること、この問題が適切に処理されることを目指して鋭意対応中だが、当社全体としては顧客へのサービスや、休暇シーズンの成功に向けた戦略の実行に注力している」と述べた。
メーシーズの株価は今年20%近く下落しており、会計の問題で投資家心理が落ち着く見込みは乏しい。
調査会社グローバルデータ・リテールのマネジング・ディレクターを務める小売りアナリスト、ニール・サンダース氏はCNNの取材に、会計の問題は「メーシーズの監査人の能力に疑問符を付ける」ものだと説明。「ただでさえ同社の業績に懸念を抱いている投資家は一段と神経質になる」と指摘した。
メーシーズは25日、暫定的な業績報告を発表し、四半期の売り上げが2.4%減の47億ドルに落ち込んだことを明らかにした。デジタル商流や弱さや、米国の秋が記録的な暖かさになったことで寒さ対策の分野が伸び悩んだことが響いた。