米国株大崩れ、NYダウは890ドル安 トランプ氏は景気後退を排除せず
(CNN) 10日の米株式市場ではトランプ大統領の経済政策に対する懸念から売りが広がった。米国株が急落したほか、暗号資産(仮想通貨)ビットコインも下落し、ウォール街の恐怖指数は今年に入って最も高い水準に達した。
相場の大崩れは早い時間帯から始まり、主要3指数はいずれも大幅安でスタート。米国株は終日下落し、午後に短時間反発したものの終値はマイナスに沈んだ。
ダウ工業株平均は890ポイント(2.08%)下落して取引を終えた。一時は下げ幅が1100ポイントを超えたが、そこから盛り返した。
より幅広い銘柄で構成されるS&P500も2.7%下げ、ハイテク株中心のナスダック総合指数は4%下落した。
ダウ平均とS&P500は今年最悪の下げを記録。ナスダックの一日の下げ幅は2022年9月以降で最大となった。
今月の株式市場は惨憺(さんたん)たる状況で、昨年11月の米大統領選以降に記録した3大指数の上昇分は帳消しとなっている。今回の相場総崩れで悪い流れがさらに継続した。
売りが広がった主な要因は、トランプ氏の関税政策の影響に対する懸念だ。トランプ氏は9日放送のインタビューで、米経済は「過渡期」を迎えるとの見通しを示し、リセッション(景気後退)の可能性を排除しなかった。
FOXニュースの番組で年内の景気後退入りを予測しているかと問われたトランプ氏は、「そういった予測をするのは嫌いだ。我々はいま非常に大きなことを進めているので、過渡期がある」と答えた。
下落を主導したのはハイテク株で、S&P500に下押し圧力がかかったほか、ナスダックは調整局面に入った。S&P500の終値は2月19日に記録した過去最高値から8.6%安に沈んだ。
ハイテク株の「マグニフィセント・セブン」を構成するアルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラはいずれも、10日の取引でマイナスとなっている。
アメリプライズのチーフマーケットストラテジスト、アンソニー・サグリンベネ氏は「必ずしも景気後退を除外しないというトランプ大統領の発言で、既に警戒感を抱えていた投資家たちに警戒が広がった」と指摘する。
ウォール街の「恐怖指数」とされるVIXは今年最高の水準に。CNNが算出する「フィア・アンド・グリード指数」によると、ここ2週間は「極度の恐怖」が市場を突き動かしている。
10日の取引でリスク資産が売り込まれる中、ビットコインは7万8000ドル付近まで落ち込み、昨年11月以来の安値水準となった。
トランプ氏の場当たり的な関税政策を巡る不透明感から、株式市場は今月ここまで大きく下落している。S&P500は先週3.1%下落し、昨年9月以降で最悪の週となっていた。