2千年前の沈没船、人骨発見で新たな研究に道 ギリシャ
(CNN) 2000年以上前に地中海で沈んだ船の調査を進めている研究チームが先ごろ、沈没地点で人骨の一部を発見した。人骨のDNAを分析できれば、船がどこからやってきてどのように沈んだのかを解明する糸口になる。考古学上の新発見の可能性に、研究者らは期待を膨らませている。
問題の船が沈んでいるのは、アンティキティラ島と呼ばれるギリシャの島の沖合。人骨の一部はギリシャ文化省と米ウッズホール海洋研究所から参加した考古学者からなる研究チームが先月31日、海面下約50メートルの海底を探索中に発見した。
人骨は20代初めの男性のものとみられ、頭蓋骨(ずがいこつ)の一部と歯、腕の骨、肋骨(ろっこつ)、大腿骨(だいたいこつ)を含む。沈没船自体は1900年にその存在が確認された。これまで見つかった古代の船の残骸としては最も大きいものだという。
研究チームは今年5月に行った同船の調査で、貴金属で作られた武器や装飾品などを発見する成果をあげていた。海底調査を統括する海洋考古学者の1人、ブレンダン・フォーリー氏は沈没船を調べる意義について「人類史上最も興味深い時代を知る手掛かりが得られる。古代ローマが共和政から帝政へと移行したこの時期は、まさにグローバル化が起こった最初の時期と言える」と述べた。
人骨のDNA分析を担当するハネス・シュレーダー氏は「(人骨は)2000年間海底にあったものとしては驚くほど保存状態がよい」と指摘。人骨から抽出したDNAを分析すれば「当時どのような人々が地中海での交易に従事していたのか、ある程度うかがい知ることができる」と語った。