巨岩の下の遺骨、死因は火砕流による窒息と専門家 ポンペイ
(CNN) 2000年前のベスビオ火山噴火で壊滅したイタリアの古代都市ポンペイの遺跡で、上半身が巨岩の下敷きになったような状態で見つかった男性の遺骨について、考古学者らはこのほど、現場から男性の頭蓋骨(ずがいこつ)や胸骨を新たに発見した。これらの遺骨に押しつぶされた形跡がないことから、男性の死因は巨岩の激突ではなく、火砕流による窒息だとの見方が出ている。
今年5月の発表では、巨岩と下半身の遺骨との位置関係から、男性は飛んできた巨岩に頭部を吹き飛ばされて死亡したとみられていた。
しかし現場をさらに調査したところ、新たに腕や胸部、頭部の遺骨が見つかった。分析の結果、考古学者らは、巨岩の激突ではなく火砕流による窒息が死因だとの結論に至ったという。
火砕流とは火山から噴き出した高温のガス、溶岩、砕屑(さいせつ)物などが混合して流れ下る現象を指す。
遺骨の上半身を押しつぶしたかのように地面から突き出して見える巨岩は、家の戸口の側柱と考えられる。この地面の下には18~19世紀に掘られたトンネルが通っており、遺骨の上半身はトンネルの中に落ちた状態で見つかった。頭蓋骨には多少のひび割れがあるが、ほぼ原形をとどめている。
今回の発見では男性が「胸のあたりで握りしめていた」とみられる小さな財布の遺物も確認された。中身は銀貨20枚と銅貨2枚で、考古学者らによれば家族3人で2週間は過ごせるだけの価値があるという。
男性の推定年齢は30歳以上。脚の骨には感染症をうかがわせる病変があり、これが原因で逃げ遅れたのではないかと研究チームは推測する。