中国のメタン排出量、規制後も増加続く 米研究者ら
(CNN) 石炭の採掘などで発生する温室効果ガスの1つ、メタンの中国での排出量は、同国政府が規制を設けた後も急速に増え続けているとの研究結果が発表された。
米ジョンズ・ホプキンス大学のスコット・M・ミラー博士らが、英科学誌ネイチャーの最新号に論文を発表した。
ミラー氏はCNNとのインタビューで「中国のメタン排出量は相変わらず増加している。国のメタン規制による影響は全く見出せなかった」と述べた。
大気中のメタンは二酸化炭素(CO2)ほど多くないものの、温室効果はCO2の28倍に上るとされる。中国は世界最大級のメタン排出国だが、同国政府は2010年、炭鉱から発生するメタンを回収したり、燃焼してCO2に転換したりする対策を義務付けた。
ミラー氏らは日本の人工衛星が10~15年に収集したデータを使い、中国のメタン排出量の推移を調べた。その結果、年間排出量は10年の規制後も増え続け、15年には00年時点の1.5倍に達していたことが分かったという。
「中国にはメタンガスを回収して発電や暖房に利用するという野心的な計画があるものの、我々の研究でそれが成果を挙げていることを示す証拠はほとんど出てこなかった」と、ミラー氏は指摘する。
中国の習近平(シーチンピン)国家主席は環境汚染対策と温室効果ガスの排出抑制を政権2期目の重点課題と位置付け、「3つの戦い」の1つに挙げている。
ミラー氏は、今回の研究が15年までのデータに基づいていることを認め、その後さらに強化された対策の成果は反映されていない可能性があるとも話している。