日本との海戦で沈んだ米空母ワスプ、77年ぶりに発見
(CNN) 第2次世界大戦中の1942年に日本と交戦して沈没した米海軍の空母「ワスプ」の残骸が、南太平洋の深さ4000メートル以上の深海で見つり、無人潜水艇を使って艦砲やブリッジの様子を撮影することに成功した。
ワスプの残骸は、マイクロソフトの創業者だった故ポール・アレン氏が主導したプロジェクトの調査船「ペトレル」が発見した。同船はここ数年で、海底に沈んだ米国、英国、日本、イタリアなどの軍艦を相次いで発見している。
米海軍には、海底に沈んだ艦船を乗員の神聖な墓地とみなして引き揚げないという方針があり、ワスプの艦体も引き揚げは行わない。それでも今回の発見によって、かつてのワスプの雄姿が脚光を浴びた。
ワスプは1942年9月15日、ガダルカナル島に海兵隊の増援部隊を運ぶ輸送船の護衛の途中で旧日本軍の攻撃を受けた。日本の潜水艦が発射した魚雷は米軍艦2隻に命中。ワスプの艦体も損傷して艦内で火災が発生、艦体が大きく傾き、巨大な煙を上げながら間もなく沈没した。乗員2000人あまりのうち、176人がこの攻撃で命を落とした。
沈没地点はソロモン諸島マキラ島南部の珊瑚(さんご)海だった。
米海軍の歴史遺産司令部を率いる退役兵のサミュエル・コックス氏は、「日本の戦闘機や魚雷の方が優れていた当時、日本に対する第一線を守ったのがワスプのパイロットや乗員の勇気と犠牲だった」とコメントしている。
海軍の伝統に従って、ワスプの名称は、インド太平洋地域で作戦を支援する海軍艦に受け継がれている。