隕石衝突で水が噴き出す、月面観測で新たな視点 NASA
(CNN) 月の表面は常に静止状態にあるわけではなく、月面に隕石(いんせき)が衝突して地表から水が噴き出すこともある――。月に対する見方を一変させるような研究結果を、米航空宇宙局(NASA)などの研究チームがこのほど、科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに発表した。
微小隕石が高速で月面に衝突すると、月面全体に衝撃波が伝わり、地下に堆積(たいせき)していた水の分子が衝突のエネルギーで水蒸気となって上空に噴出する。放出された分子は月を取り巻く大気に溶け込み、一部は地表へ戻る。
この研究は、隕石が太陽系の惑星など「空気のない天体」に衝突するとどうなるかについての謎を解く手がかりになると同時に、将来的な有人探査やロボット探査で月の天然資源を利用できる可能性が示されたと研究チームは解説する。
地下の水は月の全域に幅広く分布しているが、普段それがどんな状態にあるのかはほとんど分かっていない。
研究チームは月の軌道を周回していた探査機「LADEE」で収集したデータを解析し、月面で観測された水の噴出33回について調べた。このうち既に確認されていた噴出は29回、未確認は4回だった。
水の噴出と隕石の流れるタイミングが一致していることはこれまでの調査でも確認され、隕石が引き金となって水が噴出する可能性はコンピューターの分子予測によって指摘されていた。しかしその現象が実際に観測されたのは初めてだとしている。
月の地下に広がる水の層は極めて薄く、月は極端に乾燥していることから、月の表土1トン当たりの水の量は470ミリリットルと、ペットボトル1本程度にとどまる。