ハトの足指切断、原因は人間の髪の毛? 仏研究
(CNN) 足の指を失ったり、脚が変形したりして歩行に苦労しているハト。パリやロンドンのような大都市でよく見かける光景だが、実は人間の髪の毛に絡まって足指が切断されている可能性がある――。そんな研究結果をパリで調査に当たっていたグループが発表した。
以前の研究では、ハトが足指を失う現象について、感染症や化学汚染物質に起因する可能性が指摘されていた。しかし仏国立自然史博物館(MNHN)とリヨン大学による新たな研究の結果、人間の髪の毛が原因である可能性が出てきた。
MNHN所属の論文共著者フレデリック・ジゲ氏によると、研究のきっかけはパリ植物園を散策中に足の指が欠けたハトを目にしたことだった。
「ハトはパリをはじめ世界中でとても評判が悪い」とジゲ氏。ごみの中を歩く汚い生き物とも思われているが、実際には「人間による汚染や活動の犠牲者」だという。
研究チームは今回、市内46カ所で足指切断の発生状況を調査。その結果、床屋や美容店の密度に応じて切断が増える傾向が明らかになった。
ジゲ氏は、ハトが足指を失うのは人間の髪の毛に絡まった時だと説明し、「歩行中に糸や毛髪に足を取られてしまう」との見方を示す。「糸が外れて事なきを得ることもあるが、場合によっては足の指に巻き付いて組織が死に、切れ落ちてしまう」
今回の研究では、大気汚染や騒音被害の多い区域でハトの足指が減少することも判明。ジゲ氏は、「人間の活動が増えるとハトの足の指は少なくなる」「緑が増えればその分、ハトの足の指も増える」と指摘している。
研究結果は生物学誌バイオロジカル・コンサベーションに発表された。