NATOは「脳死」状態、米国頼れず 仏大統領
(CNN) フランスのマクロン大統領は9日までに、同国と米国などが加盟する北大西洋条約機構(NATO)の現状について同盟関係に対する米国の無関心が原因で「脳死」状態に陥っているとの認識を示した。
英経済誌「エコノミスト」との会見で表明した。欧州はもはやNATO同盟国の防衛で米国をあてには出来ないとも断じた。
米国へのこれらの厳しい見方はトランプ政権が先月、シリア北部からの部隊撤収を突じょ宣言し、欧州のNATO加盟国を困惑させたことなどが背景にある。
米軍部隊の撤退については仏政府への事前の連絡はなかったとみられる。米軍撤収で共闘していたシリアの少数民族クルド人の武装組織は見捨てられる形ともなっていた。マクロン大統領はクルド人支持を強調している。
同大統領は、同盟関係は最後の手段の担い手がそのように行動する時にのみ機能すると主張。「我々はNATOが直面する現実を米国の公約の観点から再評価すべきだ」とも説いた。
さらに、「米国は我々に背を向けている兆候がある」とし、「トランプ大統領は欧州プロジェクトで我々の考えを共有していない」とも述べた。
一方、NATOのストルテンベルグ事務総長はマクロン氏の今回の発言に距離を置き、「欧州の団結は大西洋横断の団結にとって代わることは出来ない」と主張。ドイツのメルケル首相も「マクロン氏は自説を表現するため少々劇的な言葉を用いた」とし、「私のNATO内の協力態勢の見方とは一致しない」と反論した。