脳の手術中に患者がバイオリン演奏、医師が依頼 英
(CNN) 英ロンドンの病院でこのほど、プロのバイオリン奏者がバイオリンを弾きながら脳外科手術を受ける出来事があった。
演奏は手術を担当した外科医が依頼した。脳にできた腫瘍(しゅよう)を除去する際、患者の音楽的な技能が損なわれていないことを確認するためだったという。
脳外科手術を受けながらバイオリンの演奏を披露したのは、イングランド南部ワイト島の交響楽団に所属するダグマー・ターナーさん。今回、右の前頭葉にできた腫瘍により脳が圧迫される危険が生じたため手術が必要となった。
腫瘍の影響を受けるのは、脳の中でも左手の繊細な動きをつかさどる領域だった。バイオリンの演奏に極めて重要なこの領域に対し、ある部分ではクレジットカード1枚を隔てた程度の距離にまで腫瘍が迫っていた。
ターナーさんは18日、報道発表の中で「バイオリンは私の情熱で、10歳の時から演奏してきた」「演奏できなくなることを思うと、心が痛んだ」と語った。
手術を担当した医師によれば、年400回ほど行う脳腫瘍の除去手術では患者に言語テストを行うことがよくあるものの、楽器を演奏してもらったのは今回が初めてだったという。
医師らは、ターナーさんが持つ運動スキルを損なうことなく腫瘍の90%を取り除くことに成功。ターナーさんは手術の3日後に家族の待つ家へと帰った。手術後の心境として「早くオーケストラに戻りたい」とコメントしている。