ヒキガエルの嘔吐物を使うペスト治療法、ニュートンが提案していた
(CNN) 天才科学者のアイザック・ニュートンが、ペストの有望な治療法として、ヒキガエルの嘔吐(おうと)物を使う方法を書き記した手書きの原稿が見つかった。
これまで未公開だった1667年の手書き原稿の中でニュートンは、ペストの治療法として、「最善の方法は、ヒキガエルを煙突の中で3日間、足からつるすことだ。そうすれば、死んだ直後にさまざまな昆虫の入った土を、黄色い蝋(ろう)の皿の上に吐き出す」と記していた。
さらに、「粉末にしたヒキガエルを排出物や体液と混ぜて薬剤をつくり、患部に塗れば、伝染病を追い出して毒を抜くことができる」とした。
この原稿は、このほど開かれたボナムズのオークションで、8万1325ドル(約870万円)で落札された。
原稿には、サファイアや琥珀(こはく)などの石を「魔除け」として使うことや、「ペストに感染した場所を避ける」といった一般的な対策も記されていた。
ニュートンの原稿には、ペスト治療の可能性に関する内容が詳述されている/courtesy Bonhams
ニュートンのこの原稿は、17世紀の著名化学者ヤン・ファン・ヘルモントについて研究していた時のものだった。ファン・ヘルモントは二酸化炭素のようなガスの存在を発見し、「ガス」という単語を生み出した人物として知られる。
ニュートンはファン・ヘルモントの化学について研究する傍ら、ファン・ヘルモントが1605年にベルギーのアントワープで患者の治療に当たった経験をもとに記した著書「ペストの墓」にも興味を持った。
ニュートンが1667年にペストに関心を持ったのは偶然ではなかった。
英ロンドンでは1665~66年にかけ、推定10万人がペストのために死亡した。ニュートン自身もケンブリッジでの学生生活を離れ、家族の別荘で2年間の隔離生活を送っていた。ペストについての原稿は、ケンブリッジに戻って間もなく執筆したと思われる。