絶滅危惧種のオランウータンに赤ちゃん誕生、種の保全に期待 ベルギー
(CNN) ベルギーの動物園で、深刻な絶滅の危機にさらされているスマトラオランウータンの赤ちゃんが誕生した。
発表によると、オランウータンのオスの赤ちゃんは11月28日にベルギーのパイリダイザ動物園で誕生した。同動物園で飼育されているつがいの自然な妊娠・出産で生まれ、「マタイ」と命名されている。
同動物園でオランウータンが誕生するのは、マタイの兄に当たる「ベラニ」に続いて2頭目。4歳になるベラニは、新しく生まれた赤ちゃんに好奇心いっぱいの様子だという。
オランウータン兄弟の寿命は45年程度と予想され、マタイは大人になるまでは家族とともに暮らす予定。
マタイは10歳になるくらいまで家族と暮らす予定/Benoit Bouchez/Pairi Daiza
10歳くらいになった時点で欧州絶滅危惧種繁殖計画の専門家がマタイのDNAを調べ、世界中のオランウータンの中から最も適したメスを選ぶ。「そうすることで、可能な限り最高の遺伝子をもつ健康な子どもが生まれ、種の生存の可能性を最大限に高められる」と動物園は期待する。
同動物園ではもう1組のオランウータンのつがいにも2021年に初めての子どもが誕生する見通し。同動物園のオランウータン繁殖計画は「極めて順調」だと広報は述べ、野生のオランウータンが生息するインドネシアの森林再生プロジェクトにも出資していると説明した。
オランウータンは、生息地のスマトラ島とボルネオ島の森林伐採によって深刻な絶滅の危機に瀕(ひん)している。
野生生物保護団体のボーンフリーによると、オランウータンの生息地は過去30年の間に80%が失われ、スマトラオランウータンの生息数は約1万4000頭に減った。
残る2種のうち、ボルネオオランウータンは推定4万5000~6万9000頭が残っている。2017年に発見されたタパヌリオランウータンは800頭に満たない。