ワクチン打てばもう安心? 専門家の答えは
(CNN) 米国などで新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。2回目の接種を完了したら、マスクを外して元通りの生活に戻れるのだろうか。専門家らがCNNに語ったところによると、それほど簡単な話ではなさそうだ。
ワクチンを打ったらマスクは外せるか。はっきり言って、答えは「ノー」だという。専門家が挙げる理由は5つある。
1.ワクチンの予防効果は100%ではない
現在供給されている種類のうち、最高の数字でも95%だ。つまり接種を完了しても、どこかでうつる可能性は5%あるということだ。
2.個人差
その効果にも個人差がある。1回ごとの接種に対する免疫反応は強い人もいれば、弱い人もいる。専門家が全員に2回の接種を求めるのは、主にこのためだ。
米ベイラー医科大学のピーター・ホテズ博士によると、1回の接種で高い抗体価を獲得する人もいれば、反応を示さない人もいる。
2回目の接種が済んでから十分な免疫ができるまでに、2~3週間かかることも忘れてはいけない。
3.新型ウイルスは世界中で変異を繰り返している
例えば過去に感染して抗体があっても、南アフリカ由来の変異株への感染は防げないと、専門家らは指摘する。
ファウチ米国立アレルギー感染症研究所長が今月1日、CNNとのインタビューで語ったところによると、南アフリカからは従来種に感染した人が高い確率で再感染しているとの報告があるという。
同じように、現行のワクチンが新たな変異ウイルスを完全には防げないというケースも考えられる。この可能性については現在、急ピッチで研究が進められているので、その動向に注目しておこう。
4.「サイレント・スプレッダー」の可能性
自分が無症状のまま、ウイルスをまき散らす「サイレント・スプレッダー」になる可能性も考えなければならない。
「チフスのメアリー」の話をご存じだろうか。アイルランド移民のメアリー・マローンという女性は、腸チフスの健康保菌者だった。19世紀末のニューヨークで料理人として働く間に、自覚のないまま少なくとも122人に感染を広め、このうち5人が死亡した。本人は当局に拘束され、計26年間にわたって隔離された。
CNNの医療アナリストで米ジョージ・ワシントン大学客員教授のリアナ・ウェン博士によれば、ワクチン接種を完了しても無症状のまま感染を広めることはあり得る。たとえ症状がなくても鼻腔(びくう)にウイルスがあれば、話したり呼吸したり、くしゃみをしたりすることで、それをまき散らしてしまう。
5.免疫は続くのか?
ワクチンによる免疫がどのくらい持続するのかは分かっていない。今後何カ月、あるいは何年にもわたり、追加接種が必要になるかもしれない。
免疫がどれくらい長く、どの変異株に対して作用するかが分かるまでは、マスクを着けて周囲の人や自分自身を守る必要がある。
同様の理由で、友人や親族との屋内での集まりや外食、コンサート、旅行などにも、引き続き注意が求められそうだ。