ひかれて死んだ子に寄り添い続ける母グマ 公園内は徐行を 米ヨセミテ

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速度を守るよう呼びかける道路標識=米ヨセミテ国立公園/Global Warming Images/Shutterstock

速度を守るよう呼びかける道路標識=米ヨセミテ国立公園/Global Warming Images/Shutterstock

(CNN) 米ヨセミテ国立公園でクマが車にはねられて死ぬ事故が後を絶たない。同公園のレンジャーは、死んだ子に寄り添う母グマの写真をウェブサイトやフェイスブックに掲載し、公園内を走る車に徐行を呼びかけた。

「車にはねられ、道路わきで死んだクマ。悲しいことに、日常的になっている」。ブログの中でレンジャーはそう記し、死骸を餌にする別の動物が車にはねられるのを防ぐため、クマの死骸の場所を突き止めて道路から撤去した時の様子を報告した。

同公園内には約300~500頭のアメリカクロクマが生息する。ラズベリーのシーズンを迎えた今はクマたちの活動が最も活発になり、餌を求めて開発地に出没し、人に近づくクマも急増しているという。

今回、車にはねられて死んだ子グマはメスで、生後半年以下だったとレンジャーは推定する。「しばらくの間、私は時間の感覚を失い、小さな体を見つめて立ち尽くしていた。しかし車が通りすぎる音で自分のいる場所と自分の仕事を思い出した」「私はため息をつくと、仕事を続けた。子グマを持ち上げると――25ポンド(約11.3キロ)もなかっただろう――森の中へ運んだ」

同公園の統計によると、公園内では今年に入り、計8頭のクマが車にはねられていた。

レンジャーが森の中に死骸を運ぶと、驚いたことに、もう1頭のクマに遭遇した。

「驚いた私がすぐに立ち上がると、クマは森の中に逃げ込んだが、そう遠くない場所で立ち止まって私を見返した」「私は本能的に棒を拾い、木に打ち付けてクマを遠ざけようとした」

この場所では以前、別のクマがひかれたことがあったため、クマがよく道路を横断する場所なのかもしれないと思ったという。しかし目の前に現れたクマが悲しんでいることに気付いたのはその時だった。

「私の後ろから、深い調子で柔らかく響くうなり声が聞こえた。それが何なのかはすぐに分かった」「メスのクマが子グマを呼ぶ声だった。振り向いてその方向を見ると、さっきのあのクマがいて、じっと私を見つめ返していた」

「このクマは母親だった。自分の子のそばを決して離れなかった」

母グマは子グマを呼び続け、その声はだんだん悲痛な響きになっていったとレンジャーは振り返る。レンジャーは機材を片付けると遠隔操作のカメラを設置して、その場を離れた。

「なぜ? 私たちは毎年、車にはねられたクマの数を報告するけれど、数だけでは分からないことがある」「私が見た光景を皆さんにも見てほしい。それぞれの数の背後にある悲しい現実を」

ヨセミテ国立公園は6月から9月にかけ、年間で最も多くの観光客が訪れる。レンジャーはそうした観光客にこう呼びかけている。

「ヨセミテ公園を通過するときは、私たちみんなが数えきれない動物たちの家を訪れるビジターにすぎないことを忘れないでほしい」「速度制限を守り、慎重に運転し、野生生物に目を配って。ヨセミテのクロクマを守ることは、私たち全員にできる」

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