NASAの火星探査車から「全く予想外」の発見 サンプルの岩石は溶岩由来と判明
(CNN) 米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーサビアランス」の着陸地点となった火星の岩盤は、かつて溶岩流によって形成されたものであることが明らかになった。火星着陸からわずか10カ月の時点で「全く予想外」の発見だと、ミッションに携わる科学者らは驚きをあらわにしている。
これまでパーサビアランスが画像を撮影した現地の岩盤は堆積(たいせき)岩と考えられていた。今回の発見は、15日開催の米ニューオーリンズでの米地球物理学連合(AGU)秋季会合で発表された。
パーサビアランスが調べているジェゼロ・クレーターには太古の昔に湖が存在したとされる。これまでサンプルとして採取した岩石からは、複数回にわたる水との接触を確認。一部には有機分子が含まれていることも分かった。
科学者らは数年間、同クレーターの岩盤について、太古の川に流されてきた物質の層からなる堆積岩なのか、あるいは溶岩流が冷えてできた火成岩なのか疑問を呈してきた。
パーサビアランスのプロジェクトに関わる米カリフォルニア工科大学のケン・ファーリー氏は声明で、答えは見つからないとあきらめかけていたと説明。しかしパーサビアランスがドリルで削り取った岩盤の表面のサンプルがすべてを変えたという。
「岩石中の結晶が決定的な証拠になった」(ファーリー氏)
科学者らはパーサビアランスに搭載された精緻(せいち)な機器を通じ、サンプルの組成や鉱物の含有量を分析。大型のカンラン石の結晶が輝石の結晶に囲まれて存在しているのを突き止めた。どちらの鉱物も、当該の岩石が溶岩流から形成された事実を示す。
ファーリー氏によると、マグマがゆっくりと冷えて固まったこれらの岩石は、水との複数回の接触で変質している。サンプル中に新たに形成された鉱物を研究することで、当時のジェゼロ・クレーターの気候や環境がどのようなものだったか、表面に湖が存在した年代はいつか、といった謎を解く手がかりが得られる可能性がある。火星全体の初期の歴史についても、より理解を深められるという。
これまでにパーサビアランスが採取した岩石サンプルは4つ。計画では最大37のサンプルを集めることになっている。これらのサンプルについては将来のミッションで地球へ持ち帰った後、詳細かつ多様な手法による研究が行われる予定だ。かつて火星に生命が存在したのかどうかも、明らかになる可能性がある。