絶滅の危機に瀕したスコットランドのカキ、ウイスキー蒸留所が救いの手

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英スコットランドの街インバネスの北に位置するドーノック湾に上る太陽/Glenmorangie/Encapsulate Films

英スコットランドの街インバネスの北に位置するドーノック湾に上る太陽/Glenmorangie/Encapsulate Films

英スコットランド・ドーノック湾(CNN) 大学教授を務めるビルことウィリアム・サンダーソン氏が、ドーノック湾の浅瀬を歩く。太陽がスコットランド・ハイランド地方のごつごつとした地形に差し込み、海を黄金色に照らし出す。海中の何かに目を留めたサンダーソン氏は、身をかがめてそれを拾い上げる。「欧州産のカキだ。かつてはこの場所で非常にたくさん採れた。数千年前から、1800年代まではずっとそうだった」(サンダーソン氏)

手にしたカキは、太平洋産のマガキよりも平べったくて丸い。成長の早いマガキは、欧州のレストランで現在なじみの食材だ。一方の欧州産カキは極めて希少でもある。英国内の海では産業革命期に大量に採取され、絶滅寸前にまで追い込まれた。

「鉄道網の設置で都市の市場へのアクセスが開かれ、それまで地元の産業だったカキ漁は突如として何百万人規模の市場を見出すに至った。ロンドンやパリといった大都市がそれだ」。スコットランド・エジンバラのヘリオット・ワット大学を研究拠点とするサンダーソン氏はそう説明する。当時カキは「貧民の食べ物」とみなされており、屋台で売られていた。「エジンバラでは、希望すれば家賃をカキで払うこともできた」(サンダーソン氏)

ドーノック湾の浅瀬に立つウィリアム・サンダーソン氏/
ドーノック湾の浅瀬に立つウィリアム・サンダーソン氏/

人気の高さが欧州産カキにとってあだとなった。19世紀以降、英国では地元に生息するカキの個体数が95%減少した。

しかしここへ来て、英国原産のカキには一筋の希望の光が差し込んでいる。現地の海では、海洋環境を自然の状態に戻すプロジェクトが進行中。スコットランド北東部沿岸に位置する狭いドーノック湾に変化をもたらしつつある。2014年に始まったドーノック環境改善プロジェクト(DEEP)は、これまでのところヨーロッパヒラガキ2万匹の同湾での養殖に成功した。現在の目標は、この数字を自立的な個体数の維持が可能な400万匹へと、25年までに引き上げることだ。

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