世界を襲った巨大津波を解析、恐竜絶滅させた小惑星衝突の威力
小惑星は、推定時速4万3200キロの速度で花崗岩(かこうがん)でできたユカタン半島の浅瀬に落下。3分もたたないうちに、岩石や堆積物などの破片に押し上げられて落下地点から水の壁が押し寄せ、高さ4.5キロの大波になった。この波は、吹き飛んだ破片が地上に落下すると弱まった。
しかし落下した破片はさらに破壊的な波を発生させた。
小惑星の衝突から10分後、高さ1.6キロほどの環状の波が、衝突場所から220キロ離れた地点を中心に、全方向へ向かって海上で広がり始めた。
衝突から1時間後、津波はメキシコ湾を越えて北大西洋に到達。4時間後には、かつて北米と南米を隔てていた中央アメリカ海路を抜けて太平洋に入った。
24時間後、津波は太平洋と大西洋を横断して両方向からインド洋に到達し、48時間後までには地球上の沿岸部の大部分を大津波が襲った。
海底の潮流は北大西洋、中央アメリカ海路、南太平洋で最も強く、時速643メートルを超える威力で海底の堆積物を吹き飛ばした。
一方、インド洋、北太平洋、南大西洋、地中海は最悪の津波を免れ、海底潮流も少なかった。
研究チームは沿岸部を襲った津波の威力については推定していない。しかし同モデルによると、北大西洋の沿岸と南米の太平洋に面した沿岸には、高さ10メートル以上の波が押し寄せていた。岸に近付くほど波は高くなり、洪水や浸食を引き起こした。