米国はいかにして間食大国になったのか

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ニューヨーク市にあったピーナツ売り場=1905年ごろ/Universal History Archive/Universal Images Group/Getty Images

ニューヨーク市にあったピーナツ売り場=1905年ごろ/Universal History Archive/Universal Images Group/Getty Images

作家アビゲイル・キャロル氏の米国の間食や食習慣に関する13年の著書「Three Squares(十分な3度の食事)」によると、19世紀には、ピーナツのようなスナック食品は露天商で売られ、労働者階級や貧困層の食べ物という烙印(らくいん)押されていたという。

しかし食品販売業者は、スナック食品を路上で食べる食品から家庭で食べる食品に変えることができればビジネスになると考えていた。そのためには、より質の高い包装、つまり食品の入った袋を密閉し、鮮度を保つ技術が必要だった。

そしてついに、ある起業家の兄弟がその問題を見事に解決し、食品業界のための道を切り開いた。

スナック食品が主役に

シカゴに住んでいたドイツ人の兄弟、フレデリック・ルエックハイムとルイ・ルエックハイムは、甘いポップコーンとピーナツのスナック菓子「クラッカージャック」を開発した。

作家のキャロル氏によると、ルエックハイム兄弟は1896年にクラッカージャックを携えて都市から都市へと旅をし、サンプルを配ったり、宣伝をして回ったという。

クラッカージャックの鮮度を長く保つために、彼らはヘンリー・エクスタインという人物の協力を得た。エクスタインは、裏地に特殊なワックスが塗られた袋を開発し、クラッカージャックはその袋に入れて販売された。

その後、ナビスコやケロッグといった企業が、その技術をさらに発展させたり、自社製品向けに改良を行い、他の企業がスナック市場に参入するための道を開いた。

クラッカージャックの革新的な包装は間食の新時代を切り開いた/Gene J. Puskar/AP
クラッカージャックの革新的な包装は間食の新時代を切り開いた/Gene J. Puskar/AP

また米国の文化や技術が長年にわたってさまざまな変化を遂げたことにより、外出先での間食の魅力がさらに高まったと食物史家のヤング氏は指摘する。

例えば1955年に初めて導入された電子レンジは、全く新しいタイプの包装された食品の開発を可能にした。そして第2次世界大戦後、より多くの人々が近所の八百屋ではなく、量販店で食料品を買い始めた。

巨大なスーパーマーケットの棚には箱入りのスナック食品がずらりと並んでおり、それが米国の間食文化を助長した、とヤング氏は指摘する。

そして、ミレニアル世代が自分で買い物をし始めると、その傾向はさらに加速した。

昨今の間食事情

過去数十年間にわたり間食の傾向を追跡調査しているIRIのワイアット氏によると、ベビーブーマー世代とその上のX世代は午後と夕方に間食をする傾向があるという。しかし、ミレニアル世代は朝も間食をする。

ワイアット氏は「ミレニアル世代は、明らかに人々の食事の仕方を変え始めた」とし、さらに「人々は明らかに、1日を通して軽食を取ったり間食をするようになった」と付け加えた。

その後パンデミックになり、また別の変化が起こったとワイアット氏は指摘する。それは、人々が夜遅くに間食をする機会が増え始めたということだ。

その1つの要因として、パンデミックの間、人々の日々の過ごし方が変わったことが挙げられる。従来の勤務時間中は子どもたちが家にいるため、一部の親は夜の労働時間を増やし、その結果、エネルギー補給のために間食を取っているのだ。

また15分で届けてくれるデリバリーサービスが急増したおかげで、わざわざ出かけなくても夜遅くに間食が取れるようになった。

現在、人々はオフィス勤務や、正規の勤務時間に戻りつつあるため、深夜の間食への興味は薄れているかもしれない。しかし、食品販売業者は、夜食向けの食品の販売を続けようとするだろう。

スナック食品はみな同じではない

では、間食は我々の健康にどのような影響を与えるのか。それは間食に何を食べるかによる。

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