古代の遺物からマイクロプラスチック発見、考古学に変化か 研究
ロンドン(CNN) 歴史的な土壌サンプルから初めてマイクロプラスチックが発見されたことが、新たな研究で明らかになった。考古学的遺物の保存方法が一変する可能性もある。
英ヨーク大学主導の研究チームの22日の声明によると、1~2世紀に堆積(たいせき)し、1980年代に発掘された地下7メートルあまりの土壌堆積物で研究者がマイクロプラスチックを発見した。
現代の土壌サンプルや保存された過去のサンプルから、計16種類のマイクロプラスチックポリマーが見つかったという。
マイクロプラスチックは5ミリ以下(ごま粒ほどの大きさ)の微少なプラスチックで、より大きなプラスチックが化学的に分解したり、物理的な摩耗によって小さな破片になることで発生する。
研究者によると、マイクロプラスチックは2020年ごろまでは一部の美容品でも普通に使用されていた。ただ、近年はマイクロプラスチックの拡散をめぐる議論が高まっている。
環境や健康に対するマイクロプラスチックの影響を懸念する声が上がる一方、最近の研究では、考古学の分野全体が変化を迫られる可能性も示唆されている。
近年は考古学的遺物を元の位置に保存する手法が好まれているが、新たな発見をきっかけに、アプローチの変化を迫られるかもしれない。マイクロプラスチック汚染により遺物の科学的価値が損なわれる可能性があるためだ。
ヨーク大考古学部のジョン・スコフィールド教授は声明で、「我々が予期しておくべきだったことを裏付ける重要な局面だ。従来は手つかずの考古学的堆積物と考えられていたものが、実はプラスチックに汚染されていた。この中には1980年代後半に試料として採取、保管された堆積物も含まれる」と指摘した。
「海洋や河川のプラスチックにはなじみがあるが、いま我々が目にしているのは、歴史遺産に有害物質が混入する事態だ。この汚染がどの程度、堆積物の証拠価値や国家的重要性を損なっているのか、次に確認を試みていきたい」(スコフィールド氏)
今回の研究は専門誌「サイエンス・オブ・ザ・トータル・エンバイロメント」に発表された。