太古の宇宙の海洋世界、小惑星ベンヌの標本が解き明かした驚きの可能性

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探査機「オシリス・レックス」がベンヌで採集した岩石や粉じん/Erika Blumenfeld/Joseph Aebersold/NASA

探査機「オシリス・レックス」がベンヌで採集した岩石や粉じん/Erika Blumenfeld/Joseph Aebersold/NASA

標本は大部分が蛇紋石を含む粘土鉱物で構成されており、地球の中央海嶺にある岩石と酷似していた。中央海嶺では地殻の下にあるマントル層の成分が、水と接している。

同様のリン酸塩は、2020年12月に帰還した日本の探査機「はやぶさ2」が、小惑星「リュウグウ」で採集した標本からも見つかっていた。しかしベンヌの標本の方が純度が高く粒子も大きかった。

アリゾナ大学トゥーソン校教授のダンテ・ローレッタ氏は、ベンヌ標本のリン酸塩の存在について、「水が豊富だったベンヌの過去を示唆している」と指摘。「ベンヌはかつて、水が豊富な世界の一部だった可能性がある。だがこの仮説はさらなる調査を必要とする」とした。

宇宙のタイムカプセル

ベンヌで採集された標本は、45億年以上前にさかのぼる初期の太陽系を閉じ込めたタイムカプセルの役割を果たす。

「つまりこのような小惑星は、水と生命の構成要素を地球にもたらす重要な役割を担っていた可能性がある」とカーティン大学のニック・ティムズ氏は言う。

もし、そうした小さな天体が、水や鉱物などの成分を運んで数十億年前の形成期の地球に衝突したとすると、地球上で生命誕生の土台作りに貢献した可能性もある。

「この物質は、太陽系形成の入り組んだプロセスや、地球の生命誕生に貢献したかもしれない前生物的な化学物質の謎を解く鍵を握っているかもしれない」とローレッタ氏は話している。

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