アフガン出身女性、「食べられるブルカ」制作 固定観念に挑む
ババザデさんはその実利的な発想に刺激を受けて、「ブルカフィリア」という短編映画を作った。ブルカに「愛好」を示す「フィリア」という言葉を組み合わせたタイトルだ。
祖母からイスラム文化の話を聞き取る作業を始めたのも、この時期だった。結婚前に男女の接触を禁じる戒律のせいで、新婚初夜には二人ともどうしたらいいのか分からないという話を聞いた。
ここからさらに、ブルカをフェチ(異常なまでのこだわり、愛着)の対象として扱う試みを思い立つ。自分の心の中で交わされる西洋と東洋の対話を形にしたい。そんな願望から生まれたのが、「食べられるブルカ」のシリーズだ。
アフガンから渡ってきた子ども時代のババザデさんは、米国のお菓子にすっかり魅了されていた。特に大好きだったのは、果汁を固めて薄く延ばした「フルーツ・ロールアップ」。まず、このお菓子でブルカを作ることにした。鮮やかな赤い色は欲望や愛、戦争、危険の象徴だ。
ブルカに使ったフルーツ・ロールアップは計500本前後。長い時間をかけて完成させたら、今度は自分がその中に入って撮影タイムだ。
グミや綿菓子、ハロウィーンの砂糖菓子でも同じ作業を試みた。米国の人々からは予想外の反響があった。興味をそそられた、興奮したという声も寄せられ、イスラム圏の女性が欧米でどう見られているかという議論まで巻き起こった。
最新のシリーズでは、ババザデさんがアフガンの伝統的な青いブルカをまとい、米国での日常のさまざまな場面に登場する。ババザデさんは日々、作品の自然な流れに身を任せ、自身の歴史を知り、見てくれる人と知識を共有しながら、制作活動に取り組んでいる。