薬莢で制作、プーチン氏肖像画から見えるウクライナ危機
(CNN) 薬莢(やっきょう)で作った約2.1メートルのプーチン大統領の肖像画が、来場者を見下ろしている――。米ニューヨークの展覧会でこのほど、そんな作品が展示された。戦争の恐ろしさを改めて痛感させるのが狙いだ。
薬莢はいずれも2014年に起きたウクライナ危機のもの。同危機は1990年代初頭以降に欧州で起きた紛争としては最悪規模の犠牲者を出している。
肖像画の制作に当たったのはウクライナ人アーティストのダニエル・グリーン氏とダリア・マルシェンコ氏だ。両者ともウクライナ東部を引き裂いた衝突に関し、プーチン氏に責任があるとみている。
グリーン氏は「ロシアは我々をソ連に引き込もうとした」「民主主義か全体主義かという分かれ目だった」と話す。
両者はいずれも紛争に加わった。グリーン氏の友人は数人が戦闘で死亡したという。これがきっかけとなり、事態を象徴的に表現する目的で発射済みの銃弾を使うという発想が生まれた。
2人がプーチン氏の肖像画に取り組み始めたのは2015年2月。当初は紛争に加わった友人から銃弾を手に入れていた。しかし、うわさが広まるにつれ、2人の元には戦闘後に残されたものが山のように届くようになった。
何千もの薬莢があらゆる場所から届けられた。爆弾の破片がトイレや台所など、あらゆる場所に転がっていたという。
光の当たり方によって、肖像画のプーチン氏は威圧的にも、疲れた悲しげな男にも見える。