ロンドンの迷い猫「ボブ」死ぬ、ホームレス男性との交流が書籍や映画に
ロンドン(CNN) ホームレスの男性に薬物依存症から立ち直るきっかけを与えたエピソードが書籍や映画となって話題を集めた英ロンドンの迷い猫「ボブ」が、このほど息を引き取った。14歳前後だった。
ジェームズ・ボウエンさんが初めてボブに出会ったのは2007年。当時薬物依存症の克服を目指していたボウエンさんは、捨てられてけがをしている茶トラのボブを見つけ、世話をすることにした。
ボウエンさんはボブと並んでロンドンの路上に立ち、ギターの弾き語りをしながらホームレス支援の一環で制作される雑誌「ビッグイシュー」を販売した。
ボブとの間に思わぬ形で友情が生まれたことに触発されたボウエンさんは、1人と1匹の物語を本にまとめ、「ボブという名のストリート・キャット」のタイトルで出版。続編も発表した。
出版社によればこのシリーズは800万部を売り上げ、販売額は合計818万ポンド(約11億円)に達している。
2016年にはボブとの物語をもとにした映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」も公開された。この作品には、ボブが自らの役で出演している。
出版社が発表した声明の中でボウエンさんは「ボブは私の命を救ってくれた。端的に言えばそういうことだ。ただの仲の良さにとどまらない、あまりに多くのものをくれた。ボブがそばにいたおかげで、見失っていた人生の指針や目的を見つけることができた」と語った。ボブの年齢については「少なくとも14歳」と確認した。
また「奇跡的だった」と振り返る書籍や映画の成功を通じて「ボブはたくさんの人々に出会い、本当に数多くの人の心を動かした。これまでボブのような猫はいなかったし、再び現れることもないだろう」と付け加えた。
ビッグイシューの編集に携わるスティーブン・マッケンジーさんも、同誌のウェブサイト上でボブについて「素晴らしい猫だった」と、追悼の言葉を寄せた。